『スターリングラード』(ENEMY AT THE GATES)を見た。

やっと見た。去年7月22日にTVで放送された、2001年の映画。

ジャン=ジャック・アノー監督作品。主演はジュード・ロウ。メインは1942年9月20日〜1943年2月3日、スターリングラード(現・ヴォルゴグラード)が舞台。歴史上の事件である「スターリングラード攻防戦」が題材。

HDDに録画して、ちょこちょこ見てはやめて…今日やっと見た。ただ、ちょっと気になるのは、CMカットして約108分のものを見たのだが、上映時間は約132分らしいから、オンエアー時にカットされてた?(か、わたしがCMカットに失敗したんかな?)

感想は、一言で言えば、おもしろかった。スリリングだった。

レヴュー・サイトでよく言われているように、ヴァシリという男vsケーニッヒ少佐との対決が見もの。少佐は、ゼッセン@ドイツの射撃学校で教えていたエリート("バイエルンの貴族"とか何とか…)で、わざわざ狙撃兵として最前線に乗り込んで来た。この対決がもろに前面に来たり、背景に退いたりはするが、最初の約30分以後、ほぼ全編がそれ。

わたしの印象では、レイチェル・ワイズ演じるターニャとヴァシリ君との恋愛とか、ターニャを巡っての、青年将校ダニロフ君との微妙な友情はちょっと余分…まぁ、商業映画だから、そういうのも必要なのかも。そっちも結構重点が置かれていたかもしれないけど、わたしは流していた。


単なる戦場での男対男の対決(一流の腕を持つ無名の天才スナイパーと、その敵スナイパーを撃つことを使命とした、やはり一流の腕を持つエリート少佐との命懸けの戦い)を描いた映画に終わらせたくなくて、もっとヒューマンな感じを入れたかったとしても、それは、必ずしもHありの恋愛じゃなくて、地元の少年サーシャちゃんやそのお母さんとの絡みなどで十分だったのでは?という気もする。(ターニャとダニロフがいてもいいけど、ああいうふうにヴァシリに絡ませなくっても…。)


あと、もひとつマイナス点をあげれば、最初、イギリスの男前ジュード・ロウがロシアの若者("ウラルの羊飼い")を演じることに違和感があった。(わたしはTVの吹き替えで見たけれど、たぶんしゃべってる言葉も英語だろうから、とにかくものすごく違和感あり。)まぁでもそれも、いくら歴史上の出来事をモチーフにしてるからといって(ヴァシリも実在なんだよな?)、これはドキュメンタリーじゃなくてドラマ(作り物)なのだから、あまり気にしないように、設定に身を任せようと思って楽しめばいいだけの話かも。


それにしても、あの狙撃の精度!…あれも、もしかして映画で表現されてたほど、実際は神憑り的でもなかったのかもしれないが。もしヴァシリやケーニッヒ少佐みたいな、銃撃専門みたいな男たちが、当時ほんとにあれに近い腕前なのだったら、その兵器(ライフル)の製品レベルの高さ、レンズの精度とか、銃弾の弾道の安定性とか…メカのことは全然知らないんだけど…そういうテクノロジー面に驚愕する。(それが一番の感想かも。)



スターリングラード戦や、それに敗北して後の、いわゆる「第三帝国」の没落過程、あるいは、ロシアの側の「ソ連共産党」の実像など、この映画をきっかけに、また勉強してみたいことが増えた。

そう言えば、ターニャの人物像(プロフィール)なんかも個人的に興味深かった。モスクワ大学でいわゆるゲルマニスティークを専攻したロシア人のエリート女子、みたいな設定。地元を守る志願兵としてナチス・ドイツと戦いながら、ゲーテやシラーの本も大事に持っている。(ドイツ語を話せる人材として、映画中ではダニロフにスカウトされてたけど、地元でみんなと戦いたいと言って断っていた。)実際に、あんな感じの人物もいたのかなぁ…性別はどちらにせよ。

最後に、地図を貼っておく。